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「古民家は語らず」

TOM建築設計事務所  古家 智之

 新興住宅団地を訪れてみる。すると様々な彩が出迎えてくれます。多くのメーカー住宅がデザインにしのぎを削りコロニアル風住宅だったり地中海風輸入住宅だったりと無国籍化が軒を連ねます。私達にとっては購買選択肢が増え便利にはなりました。しかし、ほんの50年前まで家は「購買」するものではなく「創る」ものであったはずです。その結果、街並みや風景は全てを失ってしまったと容易に想像できます。
 
古民家再生|田の字型古民家再生|畳の間 徒然草には「家の作りやうは、夏をむねとすべし」と謳われてます。「夏の住み易さを優先して創るのがよい」およそ700年前吉田兼好が過ごした南北朝時代には既にその考えが確立していました。それから日本の住宅の形状は一貫して通気性に富んだものとなっていたはずです。代表的なのが「田の字型」と言われるもの。大きな軒に内とも外とも言えない曖昧な空間の縁側。その内側に襖や障子で簡単に区切られた畳の間が広がります。夏場の光と風を自在に操れる住宅は家族を心地よく健康的に住まわせてくれました。その地で育った木を使い地域の人達の手で創り上げた日本の原風景とも言えます。
 
古民家|地域性|並材古民家|地域性|並材 その住宅は今では古民家と呼ばれます。しかし現代の生活様式にそぐうことが出来ず「解体」の一途をたどっています。昭和40年代からの技術躍進=工業化は高度成長期の量的供給に大きな力を発揮しました。好景気に恵まれた日本は次から次へと新たな工業製品を生産してきました。しかし、それは住宅の質に変化を起こしています。地域性の強い古民家とは対象的に全国を均一に統一してしまった。元来、その地域の材料を至る箇所で使っていました。中でも杉材はその地域の特性が顕著に現れます。日本のどこでも入手し易く節のあるものは「並材」と言いコストも手ごろです。しかも針葉樹は手触りも柔らかく保温性に優れ床・壁・天井に係らず家具や建具にも最適で様々な表情を醸し出してくれます。私が携わる住宅には多くを取り入れています。昔は可能であった杉材の様な地域材の使用、職人の手仕事や愛情は住み手にダイレクトに伝わりその事が日常生活をどれだけ豊かにしてくれたことか計り知れません。
 
古民家再生|梁古民家再生|梁 私は「古民家再生」と言う選択肢の必要性を強く感じて止みません。古民家は例え見掛けは朽ちかけていたとしても力強いエネルギーが内在します。8寸角は楽にあるであろう大黒柱を中心に5間もの長さを誇る梁は見る者を圧倒し同時に安心感を与えてくれます。そこで生活を営んだ家族の思い出や記憶がぎっしりと詰まっています。また他では決してマネ出来ない意匠が沢山あります。手垢で汚れた板戸や囲炉裏のススで真っ黒になった天井板は「味」と呼べるでしょう。人件費削減と言った時代背景を受けた現代のパネル工法では補うことの出来ない職人達の高い技術がその大黒柱の再生には要します。古民家再生は単なる住宅の再生ではなく失い掛けている技術(これも文化と呼ぶべきです)をも再生します。目に見えるハードのみならず目に見えないソフトまで蘇らせてくれるのです。
 
 昨今、環境改善は地球規模での運動である事は周知の通りです。風景をも再生する古民家再生をはじめ目に見えないものまで美しく蘇らすことが真の環境改善に違いありません。わが子やその子ども達までも健やかに生活出来る様、風土に美を取り戻す努力が必要です。
 
古民家再生
古民家再生
古民家再生
 
 「これまでどんな時間が積み上げられ これからどんな時間を刻むか?」

 「誇りをもって在り続けること」

 古民家はなにも語らず、ただじっと私達の行動を見ている気がします。
 
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